寒い冬になると燗をした日本酒が恋しくなります。身体の芯から温まりますからね。
でも、自宅で燗をするのは道具もないし、むずかしいと思っていませんか?
あるいは、面倒くさそうと考えていませんか?
もちろん、お鍋に湯を沸かして湯煎で燗をするのが理想的ですが、忙しく日々を過ごす私たちには無理そうです。
手間を省けて、なおかつ風味を損なわない、電子レンジを使った燗の作り方があります。
おいしい燗の作り方
電子レンジを使って燗をする場合、お酒は徳利などに九分目まで入れることです。
なみなみとは入れません。
徳利の口はラップで覆いましょう。
温める時間の目安は、お酒1合(180ml)につき500ワットで40秒加熱すると、人肌程度に温まります。
電子レンジは湯煎と違い、一気に温度が上がります。
気を付けてくださいね。
さらに徳利内部の上下で温度ムラができやすいので、20秒ごとに取り出して、徳利を軽くゆすって温度を均しましょう。
日本酒を入れる容器は、徳利より口径の広い片口の方がおすすめです。
表面積が大きいので、温度ムラが少ないです。
徳利や片口など特別な容器がなくても、マグカップでもOKです。
温度の上がり方は様子を見ながら上げていきましょう。
温度帯によって呼び名が変わる
お燗をしたお酒は、その温度帯によって呼び名が違うんですよ。
「熱燗」「ぬる燗」なら聞いたことがあるかもしれません。
日本人らしい細やかなネーミングです。
- ひなた燗:30度
お燗では一番低い温度帯です。常温とさほど差がありません。
でも、常温のものより香ります。
- 人肌燗:37度
文字通り、人肌、体温程度の温度です。
徳利の底を触るとほのかに温かさを感じるぐらいです。
口に含むと、口の中で米や米麹の香りがつぼみが開くように、開きます。
- ぬる燗:40度
人肌より少し高い目の温度です。
香りがほのかに立ち上り、お酒の風味、味わいを満喫できます。
- 上燗:45度
徳利から湯気がうっすら上がります。
素手で徳利を持つと熱を感じます。
- 熱燗:50度
通常、燗酒というとこのぐらいの温度帯のことを言います。
味がシャープになり、アルコールが香り立ちます。
ビギナーさんは、これが苦手という方も多いかもしれませんが、日本酒好きには堪えられない味わいになります。
- 飛び切り燗:55度
徳利がかなり熱くなるぐらいの温度です。
素手で持つと熱いです。
辛口好きの方が好む温度帯の燗です。
こんな微妙な温度の違い、燗の種類があることは、日本酒文化の奥行きの深さを物語っています。
ただ、レンジで加熱する場合は、細かな温度設定は無理なので、本来なら、鍋での湯煎をおすすめします。
レンジでする場合は、数秒ぐらいずつ加熱し、温度を確認しながら燗をしてくださいね。
うっかりしていると、急に温度が上がって吹きこぼれる心配もあります。
お燗の温度帯によって、合うお酒があります。
銘柄にもよりますが、だいたいをまとめましたので、参考にしてください。
- 熱燗向け:本醸造酒、純米酒、普通酒
- ぬる燗向け:本醸造酒、純米酒、吟醸酒
- 人肌燗向け:本醸造酒、純米酒、吟醸酒、大吟醸酒
まとめ
電子レンジで日本酒をお燗する方法をご説明しました。
ただ、電子レンジでは、デリケートな日本酒の味わいを損なわずに燗をするのは、至難の業です。
平日の夜などばたばたしている時は、電子レンジでどうぞ!あくまで忙しい時の、時短調理ぐらいの認識だと納得できると思います。
週末の夜など、時間に余裕がある時は、お鍋にお湯を沸かせて、燗酒を作ってみませんか?
きっとその味わいに驚かれることでしょう。
丁寧に手間暇かけた分、おいしさもひとしおのはずです。